
相続で空き家を取得した人のうち、「賃貸する」と答えたのは4.6%です。4つの選択肢では最も少ない道です(国土交通省 令和6年空き家所有者実態調査)。
それでも知っておく価値があります。改修の補助金は、解体の補助金より金額が大きいことがあるからです。そして売りたい人にとっても、空き家バンクへの登録は意味を持ちます。
向いている場合
- 建物がまだ使える、または直せば使える状態にある
- すぐ手放す気はないが、管理の負担は減らしたい
- 売りたいが買い手が見つからない
(バンク登録で買い手が補助を使えます) - 更地にして駐車場などに使える広さと立地がある
向いていない場合
- 将来、自分や親族が使う予定がある
(借主が付くと戻せません) - 改修に費用をかけたくない
- 建物が、危険度の判定に通るほど傷んでいる
空き家バンクとは
自治体が運営する、空き家を売りたい・貸したい人と買いたい・借りたい人をつなぐ仕組みです。
国土交通省は2018年(平成30年)4月から、自治体を横断して検索できる「全国版空き家・空き地バンク」を運用しています。公募で選ばれた2社が運営しています。
- LIFULL HOME’S 空き家バンク(株式会社LIFULL)
- アットホーム 空き家バンク(アットホーム株式会社)
出典:国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」
登録するのは、お住まいの市区町村です
全国版は検索するためのサイトです。登録の手続きは、物件のある市区町村の窓口で行います。流れは市区町村で違いますが、おおむね次のようになります。
- 申請書と必要書類を市区町村に提出する
- 市区町村が物件を調査する
- 登録している不動産事業者と引き合わせる(自治体によります)
- 事業者と媒介契約を結ぶ
- バンクに登録され、ホームページに掲載される
登録が無料でも、取引そのものは無料ではありません。実際に売買・賃貸が成立すれば、通常どおり不動産会社への仲介手数料がかかります。
そしてバンクは、すべての市区町村にあるわけではありません。当サイトが福岡県の60市町村を調べたところ、52市町村にあり、8市町村では見当たりませんでした。実家が福岡県にある場合は福岡県の空き家バンク一覧で、有無と窓口を確認できます。ほかの都道府県については、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。
登録できない物件もあります
市区町村によりますが、次のようなものは対象外になることがあります。
- すでに不動産会社と媒介契約を結んでいる物件
- 賃貸アパートなど、事業目的の物件
- 調査の結果、売買・賃貸ができないと判断された物件
改修の補助金は、解体より大きいことがあります
空き家を直して使うための補助金を用意している市区町村があり、解体の補助金より上限額が大きい場合があります。
例えば北九州市の場合、解体は上限30万円ですが、改修は上限100万円(移住者は150万円)、補助率は3分の1です。
ただし条件が厳しいことが多いです
金額が大きいぶん、対象が絞られます。北九州市の例では次のとおりです。
- 空き家バンクに関わる物件であること
- 耐震性能があること(または耐震改修を行うこと)
- 居住誘導区域内にあること(市内全域ではありません)
- 予算に達し次第、受付終了
また、対象が「空き家を購入した方」と書かれている制度があります。相続した実家を所有者自身が改修する場合に使えるかどうかは、市区町村によって扱いが違います。申請の前に担当課へ確認してください。
売りたい人にも、バンク登録は意味があります
「貸す気はない、売りたい」という場合でも
改修の補助金が購入者向けに設計されている市区町村では、バンクに登録することで、買い手側が補助金を使えるようになります。
買い手にとっては値引きと同じ効果です。売れにくい物件ほど、この差が効いてきます。
バンクは「貸したい人のもの」ではありません。売りたい人も登録できます。お住まいの市区町村の改修補助が誰向けの制度かを確認したうえで、判断してください。
貸すことへの不安について
空き家を持ち続けている人のうち、20.7%が「他人に貸すことに不安がある」と答えています。18.2%が「リフォーム費用をかけたくない」です(同調査)。
これは正当な不安です。貸せば借主が付き、簡単には出て行ってもらえません。将来自分や親族が使う可能性があるなら、賃貸は選ばないという判断も普通にあります。
「4つの中から選ぶ」というのは、そういうことです。売るのか、壊すのか、貸すのか、当面そのままにするのか。正解はひとつではありません。
更地にしてから活用する道もあります
建物を残して貸すのが難しい場合、解体し土地として使う方法があります。駐車場、アパート経営などが一般的です。
空き家を持ち続けている人の34.8%が「さら地にしても使い道がない」を理由に挙げています。逆に言えば、使い道が見つかれば動ける人が3人に1人いるということです。
土地の広さと立地で成り立つかどうかが決まるので、複数のプランを比べてから判断してください。更地にすると土地の固定資産税が上がる点にも注意が必要です。
このうち駐車場は、初期投資をかけずに始められる方法です。アパート経営と違って、借入も工事もいりません。個人の空きスペースを1台から貸し出せるサービスがあり、売る先が決まるまでの間だけ使う、という選び方もできます。
空き駐車場・空きスペースの貸し出し【アキッパ(akippa)】
空いている駐車場やスペースを、駐車場として貸し出せるサービスです。初期費用も月額費用もかかりません。バイク1台分のスペースがあれば貸し出せるので、自宅の駐車場や、建物を壊したあとの土地の一部でも使えます。自分で使いたいときは、アプリで貸し出しを止められます。
※初期費用と月額費用はかかりません。売上から手数料が引かれる仕組みです。貸し出しはアプリで止められます。
よくある質問
空き家バンクへの登録は無料ですか?
登録そのものは無料の自治体が多いですが、取引が無料になるわけではありません。実際に売買・賃貸が成立すれば、通常どおり不動産会社への仲介手数料がかかります。
全国版空き家バンクに直接登録できますか?
全国版は検索するためのサイトです。登録の手続きは、物件のある市区町村の窓口で行います。全国版は国土交通省が2018年(平成30年)4月から運用しているもので、LIFULL HOME’S とアットホームの2社が運営しています。
売りたいだけでも、登録する意味はありますか?
あります。改修の補助金が購入者向けに設計されている市区町村では、バンクに登録することで買い手側が補助金を使えるようになります。買い手にとっては値引きと同じ効果です。売れにくい物件ほど、この差が効いてきます。
相続した実家を自分で直す場合も、改修補助は使えますか?
市区町村によって扱いが違います。対象が「空き家を購入した方」と書かれている制度があります。相続した実家を所有者自身が改修する場合に使えるかどうかは、申請の前に担当課へ確認してください。
お住まいの市区町村を調べる
空き家バンクの有無、改修補助の金額と条件、相談窓口は市区町村ごとに違います。
地域から探す 空き家バンクの有無、改修補助の金額と条件、相談窓口ほかの選択肢も見る
実家をどうするかは、4つのうちから選ぶことになります。比べたうえで決めてください。
1売る
相続で取得した人の21.7%が選ぶ、最も多い道。仲介と買取で進み方が変わります。
2壊す
市区町村の解体補助金。ただし危険度の判定があり、まだ住める家には出ません。
4何もしない
32.7%が選ぶ最も多い状態。かかる費用と、税の軽減が外れる条件を整理しました。
このページは、どの市区町村にも共通する仕組みをまとめたものです。制度は年度ごとに変わり、予算に達した時点で受付を終了するものもあります。申請の前に必ずお住まいの市区町村の公式ページでご確認ください。当サイトは宅地建物取引業者ではなく、取引の媒介・代理は行いません。
